研究手法を理解する

PRISMAガイドライン:報告とフロー図を確かめる実践ガイド

適切な報告指針を選び、各要件に答える研究記録と原稿の位置を結び付けます。

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まず結論から

PRISMAはPreferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysesの略です。レビューを行った理由、方法、結果を説明するための報告指針で、PRISMA 2020には主要な27項目のチェックリストがあります。適用される補足指針と併用して報告を確認します。記入が完了しても、方法や結論の妥当性が保証されるわけではありません。

押さえておきたい点

  • 完成したレビュー、プロトコル、スコーピングレビュー、検索報告など、作成する文書に合わせて指針を選びます。

  • 報告要件を研究記録、原稿内の位置、残る対応事項に結び付けます。

  • チェックリスト、フロー図、結果、付録は同じ最終版で照合します。

PRISMAは何を対象にするのか

読者が著者に問い合わせなくても、問いから検索、選択、評価、統合までを追えることが報告の目標です。よい方法も説明不足では評価しにくく、丁寧な文章も不適切な方法を修正しません。PRISMA 2020 声明は 2021 年に公表され、2009 年声明に代わりました。名称の年は版を示します。

方法は作業を組織し、記録は判断を保存し、報告はそれを説明します。研究の進め方を選ぶ際は、システマティックレビューの解説を参照してください。PRISMA は実際に行った仕事を報告するための指針です。

「2 名が研究を選択した」だけでは、独立して判断したか、意見の相違をどう解決したかがわかりません。これらの説明で手順を確認できますが、選択基準の妥当性まで証明されるわけではありません。チェックリストは品質の認証ではありません。

どの文書を選ぶべきか

まず、作成する文書とレビューの種類を確認します。プロトコルは予定する方法を、完成した報告は実際の手順を説明します。スコーピングレビューと介入効果のレビューでは目的も異なります。各指針の適用範囲と、該当する雑誌や助成機関の要件を確認してください。

指針は併用できます。PRISMA-Sは検索報告を詳しくするもので、レビュー全体の主要指針に代わるものではありません。16項目は2021年に公表されました。以下の選択表だけで判断せず、公式リンクから全文を入手して確認します。

出発点となる文書と併用する指針
報告の対象基本文書併用するもの先に確認する点

完成したシステマティックレビュー

PRISMA 2020

抄録の指針と適用される拡張版

問いや研究デザインに対応する拡張版の範囲

システマティックレビューのプロトコル

PRISMA-P

予定する検索とレビュー方法に関する指針

予定する方法、登録、変更

スコーピングレビュー

PRISMA-ScR

適用される検索報告の指針

エビデンスを整理する目的と報告範囲

文献検索

PRISMA-S

レビューに適した主要報告指針

情報源、完全な検索式、日付、検索過程

チェックリストを原稿と根拠に対応させる

ページ番号を記入する前に、プロトコルと変更履歴、検索ログ、選定判断、データ定義、評価、解析記録を集めます。それによって、実施したが記載していないことと、実施していないことを区別できます。

対応表は、報告事項、研究記録、原稿内の位置、現在の状態、次の対応の5欄で作ります。「方法」だけでなく、小見出し、表、付録の名称を特定してください。下の架空例は、説明済みの事項、記載不足、未実施の手順を示しています。公式項目の文言ではなく、自分のレビューで実施済みという意味でもありません。

最初の例では12か月後の結果を予定していましたが、研究から得られたのは6か月後の結果でした。元の計画と日付付き変更記録を結ぶことで変更が見えるようになりますが、その妥当性は別に判断します。同様に、実施しなかった評価は事実を記載し、「該当なし」に置き換えません。本当に適用されない場合にのみ、その表記を使います。

  1. 収集

    報告の根拠となる記録を集めます。

  2. 対応付け

    適用される各要件の説明位置を特定します。

  3. 補足

    記載不足を補い、残る限界を明示します。

  4. 再確認

    共同研究者に最終提出版の対応表をたどってもらいます。

架空の報告対応表:記録・位置・対応
報告事項研究記録原稿内の位置状態次の対応

12か月から6か月への変更

プロトコルv1と日付付き変更ログ

方法:プロトコル変更、付録A

対応済み

結果とアウトカム名も6か月になっているか確認

完全な検索式

検索ログと各情報源の出力

現在は「文献を検索した」とだけ記載

実施済み・説明不足

付録Bを作成し検索方法からリンク

必要な評価を未実施

未実施を確認できる研究記録

方法と限界にまだ記載なし

未実施・説明が必要

該当なしとせず、省略と影響を記載

報告資料を一つのまとまりにする

本文で主要な説明を行い、付録で詳細を確認できるようにします。ファイルに名前を付け、参照先を示してください。原稿、記入済みチェックリスト、検索付録、選定記録、関連する解析ファイルをまとめると便利です。共有できない資料はアクセス制限と提供可能な情報を説明します。

下の例は曖昧な記載を、読者が実際に確認できる場所につなげています。小見出しと付録名は架空です。自分の研究に合う名称と説明を使い、編集後に再確認してください。抄録の研究数、推定値、不確実性の説明も、本文の結果と一致している必要があります。

架空例:報告の根拠を見つけやすくする
曖昧な記載必要な記録具体的な記載位置

「文献を検索した」

情報源名、日付、完全な検索式

方法:情報源と検索、付録B:完全な検索式

「意見の相違を解決した」

担当分担と判断調整の記録

方法:研究選定、独立判断と裁定の説明

「AIでデータを抽出した」

支援対象の項目、出典位置、修正記録

方法:データ収集、付録C:作業と検証のログ

PRISMAフロー図の選び方と読み方

報告資料では、検索で見つかった文献が採用されたエビデンスに至るまでの過程も示します。PRISMAフロー図は、特定、選別、入手、採用の各段階と、その途中で除外された数をまとめたものです。読む際は単位を区別してください。レコードはデータベースやウェブサイトの項目、報告は研究を記述した文書、研究はその基となる調査や試験を指します。一つの研究に登録情報、学会抄録、論文が存在することもあるため、報告数と研究数は別々に数えます。

PRISMA 2020の公式テンプレートは、二つの観点で選ぶ4種類があります。新規レビューか既存レビューの更新か、検索したのはデータベース・研究登録サイトだけか、それ以外の情報源も利用したか、という区分です。下表から対応するWordファイルを取得できます。フロー図は選択過程を要約するためのもので、各情報源をどのように検索したかは方法と検索付録で説明する必要があります。

灰色文献は、テンプレート上の独立した区分ではありません。学位論文、学会抄録、機関の報告書など、従来の商業出版の流通経路によらない資料を指し、データベースでもウェブサイトでも見つかります。追加の分岐は、機関への照会や参考文献の追跡など、別の方法で文献を特定したことを示します。こうした方法で刊行済みの論文が見つかる場合もあります。公表・未公表で分けるのではなく、どの方法で見つけて記録したかに基づいて分類します。情報源の追跡はPRISMAフロー図のFAQ、灰色文献の情報源はCochraneの検索ガイダンスで確認できます。

レビューの種類と検索した情報源に合うテンプレートを選ぶ
レビューの種類データベース・登録サイトのみその他の情報源も利用

新規システマティックレビュー

新規:データベース・登録サイト

新規:すべての情報源

既存レビューの更新

更新:データベース・登録サイト

更新:すべての情報源

新規レビューの二つの記入例

同じレビューのテーマについて、検索範囲が異なる二つの架空の例を示します。表示を切り替えて、その他の情報源を追加すると何が変わるかを確認してください。数値はすべて学習用の架空データです。図は公式テンプレートを改変したもので、実際のレビュー結果ではありません。

例Aはデータベースと登録サイトのみを検索します。500件のレコードから、選別前に重複する100件を除きます。最終的に採用されるのは18件の研究に関する20件の報告です。この例では、自動化ツールやその他の理由による選別前の除去はないものとします。

データベース・登録サイトによる特定
特定したレコード (n = 500)
  • データベース (n = 480)
  • 登録サイト (n = 20)
選別前に除去
  • 重複レコード (n = 100)
選別したレコード (n = 400)
除外したレコード (n = 340)
入手を試みた報告 (n = 60)
入手できなかった報告 (n = 5)
適格性を評価した報告 (n = 55)
除外した報告 (n = 35)
  • 対象集団が基準外 (n = 15)
  • 研究デザインが基準外 (n = 12)
  • 介入が基準外 (n = 8)
レビューに採用した研究 (n = 18)採用した研究の報告 (n = 20)
Pageら(2021)のPRISMA 2020フロー図を基にした、架空データによる学習用の例です。ラベルとレイアウトを変更しており、数値はすべて説明用です。

横にスクロールして両方の分岐を確認するか、図を拡大してください。

PRISMA 2020公式テンプレートライセンス CC BY 4.0

数値を照合するポイント

  • 分岐ごとに順に確認します。例Aでは500 − 100 = 400件のレコードを選別し、400 − 340 = 60件の報告の入手を試みます。このうち5件は入手できず、55件が適格性評価に進みます。この5件は「入手できなかった報告」に計上し、評価後の除外には含めません。
  • この集計では、除外した報告ごとに主な理由を一つ割り当てます。データベース側では15 + 12 + 8 = 35件を除外し、55 − 35 = 20件の報告を採用します。例Bのその他の情報源では12 − 2 = 10件を評価し、3 + 2 + 1 = 6件を除外して、4件の報告を採用します。
  • 報告と研究は分けて数えます。例Aの20件の報告は18件の研究を記述し、例Bでは別の3件の研究に関する4件の報告が加わります。同じ研究から生じた複数の報告は、その研究に関連付けます。自動的に重複報告として除去してはいけません。
  • その他の情報源も、特定した時点から記録します。最終的な採用数だけでなく、入手できなかった報告や除外した報告も追跡してください。情報源をまたぐ重複レコードを検索ログと照合し、フロー図を変更した場合はその内容を説明します。ここでは簡略化のため、入手段階に進む各レコードが1件の入手対象の報告に対応すると仮定しています。

既存レビューを更新する場合

既存レビューの更新用テンプレートでは、前版から引き継ぐ証拠と今回見つかった証拠を分け、合計を照合します。初回レビューの投稿前に再検索しただけで「更新レビュー」になるわけではありません。検索回を透明に統合し、日付と件数をログに残してください。最終件数を検索ログと結果表で確認し、その選定過程で使った支援も説明します。

A · データベース・登録サイト

例Aはデータベースと登録サイトのみを検索します。500件のレコードから、選別前に重複する100件を除きます。最終的に採用されるのは18件の研究に関する20件の報告です。この例では、自動化ツールやその他の理由による選別前の除去はないものとします。

データベース・登録サイトによる特定
特定したレコード (n = 500)
  • データベース (n = 480)
  • 登録サイト (n = 20)
選別前に除去
  • 重複レコード (n = 100)
選別したレコード (n = 400)
除外したレコード (n = 340)
入手を試みた報告 (n = 60)
入手できなかった報告 (n = 5)
適格性を評価した報告 (n = 55)
除外した報告 (n = 35)
  • 対象集団が基準外 (n = 15)
  • 研究デザインが基準外 (n = 12)
  • 介入が基準外 (n = 8)
レビューに採用した研究 (n = 18)採用した研究の報告 (n = 20)

Pageら(2021)のPRISMA 2020フロー図を基にした、架空データによる学習用の例です。ラベルとレイアウトを変更しており、数値はすべて説明用です。

AI利用をどう記載するか

AIが行った作業と出力の検証方法を説明します。2026年10月18日の確認時点では、PRISMA公式拡張版一覧はレビュー過程におけるAIツールの部分更新を開発中としています。ここで提案するログは実務上の補助であり、正式に採択されたPRISMA AIチェックリストではありません。投稿時には一覧と雑誌の方針を確認してください。

各支援作業について、ツールと入手可能なバージョン情報、日付、入力、出力、原資料の確認、修正、担当者を記録します。解決しなかった記録や値がどう扱われたかも説明します。例えばスクリーニングの優先順位付けでは、表示された記録だけでなく残りのキューの処理が必要です。

架空の記載例は「ツールが抄録から研究デザインのラベルを提案し、研究者がすべて出典と照合した。不確かな記録は全文評価の対象に残した」です。記録された実際の手順に合う場合のみ使ってください。制限のある入力は公開ログに含めません。導入前の評価方法を選ぶにはシステマティックレビューのAIツールを参照できます。

投稿前の最終確認

最後の実質的な修正後、執筆に関わっていない人に対応表をたどってもらいます。根拠が見つからなければ、提出前に直すべき位置、説明、添付資料が分かります。

記入済みチェックリストは、実際に提出した版と一緒に保存します。原文や公開済みのPRISMA翻訳は公式サイトから入手してください。このガイドは独自の学習用解説であり、公式訳ではありません。

  • 該当する各項目が、具体的で最新の本文または添付資料を指している。

  • フロー図、抄録、結果表の報告数と研究数が一致している。

  • プロトコルからの変更に日付付き記録と説明がある。

  • 付録のリンクが開き、ファイル名とアクセス制限が明確である。

  • 結論に、報告した不確実性と限界が反映されている。

よくある質問

PRISMAはレビューの実施方法ですか?

PRISMAは報告の指針です。研究には適切な方法論を用い、その実施内容をPRISMAに沿って説明します。チェックリストの完成だけでは方法の質は判断できません。

どのチェックリストから始めますか?

文書とレビューの種類で選びます。完成したシステマティックレビューはPRISMA 2020、プロトコルはPRISMA-P、スコーピングレビューはPRISMA-ScRが出発点です。範囲と関連拡張版を確認し、検索報告にはPRISMA-Sを併用できます。

PRISMA 2020は今も主要声明ですか?

2026年10月の確認時点では、公式サイトで主要声明として示されています。報告を準備する際に、関連拡張版と更新を公式一覧で確認してください。

未実施の手順を該当なしと書けますか?

本当に適用されない場合のみです。必要な手順を省略したなら、その事実とレビューへの影響を記載し、省略を隠さないでください。

PRISMAの使用にメタアナリシスは必要ですか?

必要ありません。推定値を統合しない場合にも、知見をどう整理・統合したかを説明し、方法と結果を明確に報告します。

出典・参考資料

方法の詳細、適用範囲、最新情報は原典をご確認ください。

  1. PRISMA 2020声明PRISMA
  2. プロトコル報告:PRISMA-PPRISMA
  3. スコーピングレビュー:PRISMA-ScRPRISMA
  4. 検索報告:PRISMA-SPRISMA
  5. 公式フロー図テンプレートPRISMA
  6. 拡張版と開発状況PRISMA
  7. PRISMAの翻訳PRISMA
  8. PRISMA著者によるフロー図のFAQPRISMA著者
  9. Cochraneハンドブック第4章:研究の検索と選択Cochrane
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